「下流老人 一億総老後崩壊の衝撃」の著者である
藤田孝典さんによると、
下流老人とは、経済的に普通に暮らすことができず、
下流の生活を強いられている老人のことで、
具体的には、生活保護基準相当もしくはそれ以下で
暮らさざるを得ない高齢者のことです。
例えば、生活の苦しさから万引きをしてしまう老人。
医療費が払えず、病気になっても治療を受けられない老人。
食費を抑えるため、即席メンや卵かけご飯が主食の老人。
電気代が支払えず夏場もエアコンのない生活をする老人。
藤田さんの元には、こんな相談が後を絶たないそうです。
厚生労働省による平成28年度新規裁定者(67歳以下)の
年金額の例によると、
夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額は
月額221,504円となっています。
この数字だけを見ると、つつましく暮らせば
老後は何とかなるんじゃないのとも思えますが、
これは夫が平均的収入(賞与を含む月額換算)が
42.8万円で40年就業した場合の給付水準であり、
実際はかなり恵まれた方の場合です。
現在65歳の人で20歳から60歳までの40年間
厚生年金に加入していて保険料を払った場合、
平均月給与が38万円だと、厚生年金+国民年金で、
年間約198万円、月額約16万5千円となります。
これが平均月給与が25万円になると
厚生年金+国民年金で年間約198万円、
月額では約13万円となるそうです。
しかも、収入が年金のみであっても控除額を超えると
所得税が課せられますし、健康保険料の徴収もありますので
実際の手取りはもっと少なくなります。
2014年度の「家計調査報告」による年金生活者の
家計をみると、月21万円程度の収入に対し
そこから税金や社会保険料を引いた手取りは
約18万円とのことです。
しかも高齢期は養育費は掛からなくなっているものの、
病気や家のリフォームなど予定外の出費も懸念されます。
老後の生活資金不足は深刻な問題です。
若いころと違い、体力的にも無理はできませんし、
気力も続かなくなってきます。
自分の場合にはどの程度の生活費が必要なのか、
年金等の収入はいくらくらい見込めるのか、
少しでも早いうちから老後の資金計画を作ってみる
必要がありそうです。